SIS | ホットメルト接着剤向け 高性能スチレン-イソプレン-スチレン
概要
SIS(Styrene-Isoprene-Styrene、スチレン-イソプレン-スチレン)は、ホットメルト接着剤業界に革新をもたらした高性能な熱可塑性エラストマーです。直鎖型トリブロック共重合体であるSISは、熱可塑材料の加工性とゴムの弾性を兼ね備え、感圧接着剤(PSA)、ホットメルト配合、特殊コーティング用途など多様な産業分野で幅広く採用されています。
SISはスチレン系ブロック共重合体に属し、硬質なスチレン末端ブロックと柔軟なイソプレン中央ブロックからなる独自の分子構造を有します。この構造はミクロ相分離による物理的架橋を形成し、化学的加硫を行わずとも卓越した弾性を発現します。SISは逐次陰イオン重合によって製造され、分子量分布が制御された一貫した性能を示します。
CAS番号は25038-32-8で、一般的なスチレン含有量は15〜30%です。これにより、タック(粘着性)、凝集強度、加工柔軟性の最適なバランスが得られます。イソプレンセグメントは低温柔軟性と接着性に優れ、永久タックと再位置決め性が重要なホットメルト接着剤配合において特に高い価値を持ちます。
特長・メリット
- 優れたタック特性: 感圧用途における初期接着と永久タックが卓越
- 低温性能に優れる: -40°C環境でも柔軟性と接着性を維持
- 加工性が高い: 低い溶融粘度により塗工・適用が容易
- 高い凝集強度: バランスの取れた分子構造により優れた保持力を発揮
- 熱安定性: 加工時の高温においても性能を維持
- 高い樹脂適合性: タッキファイヤーや可塑剤と極めて良好に相溶
- 再配置可能な接着: 熱可塑性により再位置決めやリサイクルが可能
- 透明性: クリアなポリマー基材で光学的透明性が必要な用途に適合
用途
SISはホットメルト接着剤分野で幅広い用途に使用されています。
ホットメルト接着剤用途
- 感圧テープ: 医療用テープ、包装用テープ、産業用接着テープ
- ラベル接着剤: 常圧型/再剥離型ラベル(包装・工業マーキング)
- グラフィックアーツ: サイネージやディスプレイの貼り合わせ用途
- 組立用接着: 自動車内装部品や電子機器の組立接着
- 包装用シーラント: 軟包装フィルムや食品グレード用途
工業分野での用途
- フットウェア産業: ソール接着、アッパー組立用接着剤
- 建設: ルーフィング膜、耐水システム
- 自動車: 内装トリムの接着、制振用途
- エレクトロニクス: 部品封止、ワイヤハーネス固定
- 医療機器: 皮膚接触型接着剤、創傷ケア製品
技術仕様
SISは、スチレン含有量15〜30%、メルトフローインデックス(MFI)5〜40 g/10min(200°C)、室温領域で最適化されたガラス転移温度といった優れた熱的・機械的特性を示します。トルエン溶液(濃度25%)での粘度は一般に700〜2000 mPa·sの範囲です。
詳細な技術情報および特定グレードの比較については、当社データシート(TDS)をご覧ください。
比較と代替
SIS と SBS の比較
SISとSBSはいずれもスチレン系ブロック共重合体ですが、SISはイソプレン中間ブロックに由来する低温柔軟性とタック特性に優れます。一方、SBSは引張強度が高く、感圧性よりも構造的接着を要求する用途においてコスト効率に優れます。
グレードバリエーション
SISには用途最適化のためにスチレン含有量や分子量が異なる多数のグレードがあります。スチレン含有量が高いグレードは凝集強度が向上し、低いグレードはタックと柔軟性が高まり、要求の厳しいホットメルト配合に適しています。
よくある質問(FAQ)
SISはどのような用途で使われますか?
SISは主にホットメルト接着剤配合の中核材料として、感圧テープ、ラベル、包装用途で使用されます。卓越したタック特性と低温柔軟性により、永久接着と再位置決め性を両立させたい用途に最適です。
SISは高温用途に適していますか?
サービス条件では概ね80°C程度まで良好な性能を維持します(加工温度は最大180°C程度)。より高いサービス温度が必要な場合は、SEBS系や高耐熱設計のSISグレードの検討を推奨します。
SISとSBSの違いは何ですか?
SISはイソプレン中間ブロックに起因する優れた低温柔軟性とタックを持ち、感圧接着剤に適しています。SBSはより高い強度を示し、構造的接着用途に向いています。
ホットメルト接着剤配合におけるSISの性能は?
SISは低い溶融粘度、タッキファイヤーとの優れた相溶性、卓越した感圧特性によりホットメルト配合で優れた性能を発揮します。一般的に配合中の20〜40%程度を占めます。
推奨されるSISの加工設備は?
加温タンク、ギヤポンプ、スロットダイ塗工などの一般的なホットメルト加工設備で良好に処理できます。温度管理と適切な混合が、接着剤配合で最適な性能を得るために重要です。
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